がん患者団体などから強い反対がでた高額療養費

ニュースで話題になった「高額療養費」!!
前回お話した高額療養費制度の見直しで、特にがん患者団体等を中心に強い反対運動が起こりました。
なぜでしょう?
まずは、前回の復習から…。
高額療養費は月はじめから月末の間に医療費が高額になった場合、限度額以上は払わなくて良いという制度です。
また、マイナ保険証等を提出していない場合や、3割負担の人が自己負担額21,000円以上支払った病院が複数あった場合等は、後日加入している健康保険組合等から払いすぎた分が給付されます。
限度額は所得で区分されていて、所得の高い人がより多く負担します。
また、扶養になっている場合は、扶養している人(例えば夫)の所得で判断されますので、
「私は、所得が少なくて扶養になっているのに…」と思われる場合もあります。
ちなみに私の場合も、私が働いていて夫が体調を崩し、扶養の範囲でアルバイトをしていましたが、たまたま130万円を超えて扶養から外れてしまいました。
ということで、夫は、毎月保険料を払うことになりましたが、
なんと高額療養費の基準が下がり、毎月の通院代と薬代の負担はかなり安くなりました。
「不幸中の幸い」でした。

多数回該当とは?
参考にあなたの限度額計算式を最後に記載します。
標準報酬月額(概ね月収)がわからない場合は、ざっくり年収を12で割ったあたりを見て下さい。
ここからが今回の本題「多数回該当」のお話
今回の高額療養費の改正で、多くのがん患者団体が強く反対したと記載しました。
その理由は、高額療養費で多数回に該当した場合の基準額である自己負担額が上がってしまうからです。
多数回該当とは何でしょうか?
前回から、高額療養費についての概要をお話してきました。
例えば基本給、通勤手当、残業代、諸手当等
これらすべて合わせた金額が、概ね標準報酬月額となります。
これらの合計が、30万円のA子さんの場合、
高額療養費の計算式「高額療養費算定基準額」(自己負担限度額)は、
80,100+(医療費-267,000)× 1%
となります。
最低でも、80,100円は自己負担が発生することになりますね。
国立がん研究センターの統計によると、
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は(2021年データ)
男性63.3%(2人に1人)
女性50.8%(2人に1人)
日本人ががんで死亡する確率(2023年データ)
男性24.7%(4人に1人)
女性17.2%(6人に1人)
とのことです。
2人に1人。
人ごとではありませんね。

ちなみに、私の義母、両親は3人とも肺がんでした。
これだけの人がかかる病気なので、治療法等も色々選べるようになっていますが、
短期間で治療が終わることはありません。
現在は、さまざまな治療をしながら、仕事を続けられている人が多くいらしゃいます。
実はそのようなことも配慮して、同じ健康保険の「傷病手当金」制度も改正されてきています。
例えば、先程のA子さんががんに罹患した場合、手術や放射線治療等を毎月続けた場合、
最低でも(年間) 80,100× 12=961,200 かかる計算になります。
このような方々のために「多数回該当者」制度が用意されています。
これは、1年間で、高額に該当した月が3回(3ヶ月)あった場合は、4回目(4ヶ月目)から、安い固定金額以上は負担しなくてよいという制度です。
令和7年6月に手術をした私の場合、令和8年5月までに、例えば、11月、2月、4月が高額になった場合、4月からは安い固定の限度額になります。
先ほどのA子さんの場合は、「高額療養費算定基準額」(多数回該当)は、
44,400円 固定となります。
毎月4万円少なくなると、かなり助かりますね。
今回の改正は、現在「高額療養費算定基準額」(多数回該当)の段階が、
- 24,600円
- 44,400円
- 93,000円
- 140,100円
とあるところ、もう少し段階細かくし、金額を増やそうという案で
最高140,100円のところ、変更後は246,600円にする案がでていました。
少子高齢化で医療費が増加して、国としても毎月の保険料だけでカバーすることは難しいため、色々施策を考えているようですが、それぞれの立場を考えると難しいですね。

先日、薬局で処方されるのを待っていると、ある女性が薬剤師さんに、
「以前は、先発のお薬でよく効いていたのですが、ジェネリック(後発医薬品)だと効きがわるく、先発だと金額が高くなってしまうので毎月はきびしのですが..」と相談していました。
そう、昨年の10月から医師が医療上の必要性を認めない限り、先発医薬品を希望した場合、差額の4分の1が自己負担となっています。
また、お薬手帳を持参した場合と、持っていかない(忘れた)場合では、「薬剤服用歴管理指導料」が高くなり、自己負担額がふえます。
ちなみに、先ほどの女性に対しては薬剤師さんが、医師に相談するようにアドバイスしていました。
(参考)70歳未満の高額療養費
標準報酬月額 | 自己負担限度額 | 多数回該当 |
---|---|---|
83万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
53万円以上83万円未満 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
28万円以上53万円未満 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
28万円未満 | 57,600円 | 44,400円 |
低所得者 (市町村民税非課税者等) | 35,400円 | 24,600円 |
おわりに
来月10月4日は、自民総裁選です。
高額療養費についても、これらが落ち着かないと話題に上がってこないと思われますが、
保険料はあまり払いたくないし…
具合が悪いときは安く診てもらいたい…
税金は安い方がいい…
こんな贅沢は、通らないと思いますが…

今回、「2人に1人ががんになる」ときいて、医療保険等に入っていない方で、
保険の加入を考えてみようかな?と思われた方。
次回は、私の経験から考えておいたほうがいい費用についてお話しようと思います。
それでは、また。
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